サン・ジョルディの日を徹底解説|4月23日に本を贈るのはなぜ?

4月23日「サン・ジョルディの日」とは

4月23日は、「世界本の日(世界図書・著作権デー)」や「サン・ジョルディの日」といった、いくつかの文化的な記念日です。親しい人に本や薔薇を贈る日とされています。本を贈るということは、相手のために「どんな時間を過ごしてほしいか」を選ぶことでもあります。
つまりそれは、単なるプレゼントではなく、“時間そのものを丁寧に選んで渡す”という、とても愛情深い心理が感じられます。
このコラムでは、この美しい祝祭の由来から、現代における本の選び方、そして私たちが本を通じてつながる意味を深く掘り下げていきます。ぜひ、気に入った「サンジョルディの日」のエピソードが気に入った方は身近な方に本をプレゼントしてみてくださいね。
騎士とバラと文豪
サン・ジョルディの日は、「伝説」と「文学」と「アイデンティティ」という三つの物語から成り立っています。
龍を退治した騎士の伝説

カタルーニャ地方では、4月23日は守護聖人サン・ジョルディを祝う日として知られています。その由来はサン・ジョルディの伝説に由来しています。昔、タラゴナ近郊のモンブランという町に、凶暴な龍が現れ、人々は恐怖におびえていました。龍を鎮めるため、町は毎日生贄を捧げていましたが、ついに王女が選ばれてしまいます。そこへ白馬に乗った騎士サン・ジョルディが現れ、龍に立ち向かいます。そして槍で龍を退治し、人々を救いました。
龍の血が流れた大地からは、美しい赤いバラの茂みが咲いたと伝えられています。騎士はその中から最も美しい一輪を摘み、王女に贈ったとされています。
この物語が、バラを贈る習慣の起源とされています。
文豪たちの命日
本を贈る習慣はより近代的な背景があります。4月23日は、文学史における偉大な作家たちが、同じ時期にこの世を去っているのです。
- 代表的なのが次の3人です。
- ミゲル・デ・セルバンテス:スペイン最大の作家であり、世界最初の近代小説とも言われる『ドン・キホーテ』の著者で、1616年4月22日に死去し、翌23日に埋葬されました。
- ウィリアム・シェイクスピア:『ハムレット』『ロミオとジュリエット』で知られるイギリス文学を代表する劇作家で、この時期に没したとされています。
- インカ・ガルシラーソ・デ・ラ・ベガ:ペルー出身の歴史家・文学者として知られる人物です。
彼らが生涯を閉じたこの時期を、ユネスコは1995年に「世界図書・著作権デー」と定めました。カタルーニャでは、これに先立つ1920年代から書店主たちが「本を贈る日」として提唱しており、伝説のバラと、知性の象徴である本が一つに結びついたのです。
そして1929年のバルセロナ国際博覧会で屋外の書店が大きな成功を収めたことがきっかけとなり、「本を贈る日」という文化が広く定着していきました。
※ただし、補足すると当時のヨーロッパでは、国によって暦が異なっていました。スペインはすでにグレゴリオ暦を使っていましたが、イギリスはまだユリウス暦を使用していたのです。そのため、シェイクスピアの命日は、現在の暦に直すと5月3日になります。
カタルーニャの祝祭

この日、バルセロナを中心としたカタルーニャの街並みは、魔法にかかったような変貌を遂げます。通りには数えきれないほどの書店ブースと花屋が並び、赤、黄、金のリボンで飾られたバラが溢れかえります。このリボンはカタルーニャの州旗「サニェーラ」の色であり、彼らにとってこの祝祭は、自分たちの言語と文化を愛でる誇り高き日でもあるのです。
特筆すべきは、この日が公式な祝日ではないということです。人々は仕事や学校の合間に街へ繰り出し、家族のために、恋人のために、あるいは自分自身のために、真剣な眼差しで「最高の一冊」を探します。年間で取引されるバラは約400万本、本は約50万冊にものぼると言われ、街全体がページをめくる音とバラの香りに包まれるのです。
「本を贈る」ということ

現代において、なぜ私たちはあえて「本」を贈るのでしょうか。
デジタル化が進み、情報は瞬時に手に入る時代です。しかし、本という贈り物には、物理的な重さ以上の「時間のギフト」としての側面があります。
「時間」をプロデュースする
本を贈る側は、相手がその本を読んでいる数時間、あるいは数日間を想像します。「この一節を読んだとき、彼はどう思うだろう」「この写真集を見ているとき、彼女の心は癒やされるだろうか」。本を選ぶ時間は、相手の心と静かに対話する時間です。
記憶の栞となる
贈られた側にとっても、本は特別な存在になります。読み終えたあと、その本は本棚に残ります。数年後に背表紙を目にしたとき、「あの日、あの人が私のために選んでくれた」という記憶が、物語の記憶とともに蘇ります。本は、人と人との関係性に栞を挟んでくれる装置なのです。
贈るなら、どんな本を選ぶ?
「本を贈りたいけれど、何を贈ればいいか分からない」という方へ。サン・ジョルディの日にふさわしい、相手別のジャンル選びのコツをご紹介します。
本を贈る際は、相手との関係性を意識することで、選びやすくなります。
恋人へ
感情や愛情を丁寧に描いた小説や、あるいはガウディ建築のように美しい写真集など、感性に訴える本が好まれます。
友人へ
気持ちを軽くしながらも話題にできるエッセイや、共感を生むベストセラー作品が向いています。
家族へ
日常を豊かにする料理本や、世代を超えて楽しめる絵本など、生活に寄り添う本が適しています。
私が今までプレゼントして喜ばれたのは、
短歌を作る相手に歌集を渡したとき、サンテグジュペリが好きな人に特別な装丁の星の王子さまを贈ったときです。
また語学勉強中の相手にはその人が好きな本や漫画の外国語バージョンなどもいかがでしょうか。
サンジョルディの日おすすめの過ごし方
自分のための「一期一会」を見つける
書店をゆっくり歩きながら、理屈ではなく直感で惹かれる一冊を選ぶ。
それは誰かのためではなく、未来の自分に贈る本でもあります。
歴史を辿る「書店のハシゴ」
大型書店から小さな古書店まで巡りながら、紙とインクの匂いに身を委ねる時間。
本が並ぶ空間そのものを味わう、少し贅沢な散歩です。
「人生を変えた一冊」を語る
SNSでも、友人との会話でもいいので、自分の感性の軸になった本について言葉にしてみる。
本を通じて、自分の過去や考え方をもう一度見つめ直すきっかけになります。
大切な人に「物語」を包む
一輪のバラとともに、その人の人生にそっと寄り添うような一冊を選び、丁寧に包む。
そこにあるのはモノではなく、「時間」と「想い」の贈り物です。
五感を研ぎ澄ます読書時間
お気に入りの場所に座り、静かにページをめくる。
紙の質感、ページをめくる音、かすかな香り。意識することで、読書はただの情報取得ではなく、体験へと変わっていきます。
2026年4月23日までの特別企画:みなさまの「おすすめの一冊」をご紹介
私たち横浜読書会konkonは、本を通じて人が出会い、対話が生まれる場を大切にしています。そこで今回、サン・ジョルディの日に合わせ、コラム内にて匿名で、みなさまの「おすすめの一冊」をご紹介させていただきたいと思います。
応募内容
- 贈る相手(恋人、友人、家族、同僚など誰でもOK!)
- 本のタイトル・著者名
- 贈りたい理由
応募の例:①友人(最近、仕事や人間関係で悩み、立ち止まっている親友)② 『アルジャーノンに花束を』ダニエル・キイス③ 「知ること」や「変わること」の幸せと切なさを描いた名作です。目まぐるしく変わる世界で、何が大切なのかを改めて考えさせてくれます。明日を生きる優しさをもらえる一冊なので、大切な友人にぜひ読んでほしいです。
応募方法
- InstagramのDM または 公式LINE まで
- 複数回答も大歓迎です!
4月23日まで随時募集しております。
みなさまの心に残る一冊を、ぜひお待ちしております。
参考文献:
「図書室から: サン・ジョルディの日」雲雀丘学園中学校・高等学校
「親愛なるひとに本とバラを贈ろう。サン・ジョルディの日 4/23」株式会社新東通信
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